化学辞典 第2版 「ヨウ素酸塩」の解説
ヨウ素酸塩
ヨウソサンエン
iodate
MⅠ IⅤ O3.酸性塩MⅠH(IO3)2も得られている.たとえば,アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩は,各金属水酸化物の熱水溶液と I2 との反応,各金属の塩素酸塩または臭素酸塩と I2 との反応などで得られる.三方すい型のIO3-を含む無色のイオン結晶.I-O約1.81 Å,I-OH約1.93 Å.∠O-I-O約97~102°.酸化剤であり(I-→ I2),塩素酸や臭素酸の塩よりは酸化力が弱く,より安定であるが,可燃物と混合して点火すると爆発する.塩素酸塩や臭素酸塩よりは水に溶けにくいが,アルカリ金属塩などは,多くは水に可溶.ただし,Mn+(n ≧ 2)の塩,たとえば,Zr,Hf,Ce,Thなどの塩は水に難溶.【Ⅰ】KIO3(214.00).無色の結晶.室温以下では三斜晶系.高温では単斜晶系.りょう面体晶系もある.水に可溶,熱水に易溶,エタノールに不溶.分析試薬(標準物質),酸化剤,医療用などに用いられる.[CAS 7758-05-6]【Ⅱ】NaIO3(197.89).無水物のほかに,一および五水和物もある.天然にもチリ硝石に含まれている.無色の結晶で,水に可溶,エタノールに不溶.医療用,防腐剤などに用いられる.[CAS 7681-55-2]【Ⅲ】Ba(IO3)2(487.13).無水物,一水和物がある.一水和物は130 ℃ で無水物になる.水に難溶,アルコール類に不溶,HCl,HNO3などに可溶.[CAS 10567-69-8]【Ⅳ】Ca(IO3)2(389.88).無水物(三斜晶系),一水和物(立方晶系),六水和物(斜方晶系)がある.無色の結晶.無水物は540 ℃ まで安定である.水に微溶,エタノールに不溶,硝酸に可溶.KIより安定なので,食物にヨウ素源として添加するのに用いられる.そのほか,イースト発酵食品の改質用,防腐剤などにも用いられる.[CAS 7789-80-2]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報