日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨグソミネバリ」の意味・わかりやすい解説
ヨグソミネバリ
よぐそみねばり / 夜糞峰榛
[学] Betula grossa Sieb. et Zucc.
カバノキ科(APG分類:カバノキ科)の落葉高木。ミズメ、アズサともいう。高さ20メートルに達する。樹皮は暗灰色、滑らかで横に長い皮目が点在し、サクラの樹皮に似る。枝を折ると強いサリチル酸メチルの匂(にお)いがするので、ヨグソミネバリの名がある。葉は互生し、卵状楕円(だえん)形で長さ5~8センチメートル、縁(へり)に重鋸歯(じゅうきょし)がある。雌雄同株。雄花穂は秋から長枝の先につく。雌花穂は冬芽中で越冬し、早春、短枝の先に開く。果序は直立し、堅果に翼がある。温帯の山地の広葉樹林内で他樹種に混じって生え、本州から九州に分布する。材はサクラに似て、器具材、家具材など用途は広い。昔、弓材として用いられ、梓弓(あずさゆみ)として知られたアズサは本種とされる。
[菊沢喜八郎 2020年2月17日]