アズサとよばれる木でつくった丸木弓。アズサは木竹合成弓が考案される平安時代中期まで弓材として用いられ、『古事記』『万葉集』にその名がみられる。古くから枕詞(まくらことば)として使われ、弓の弦を引く、または張るところから「い」「いる」「ひく」「はる」、弓の部分名称から「もと」「すえ」「つる」、弓が反るところから「かえる」、矢を射る音から「や」「おと」などに冠せられる。
[入江康平]
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
…い,いる,ひく,はる,もと,すえ,つる,よる,かえる,や,音などにかかる枕詞として歌に詠まれた梓弓の梓にあたる植物には,古来キササゲ,アカメガシワ,オノオレ,リンボク(ヒイラギガシ)などの諸説があり一定しなかった。ところが白井光太郎がカバノキ科のヨグソミネバリ(ミズメ)説を唱え,正倉院の梓弓についての顕微鏡的調査の結果からも実証され,現在これが定説になっている。…
…関東地方から東北地方にかけて分布する巫女の名称。梓弓は古代より霊を招くために使われた巫具で,これを用いてカミオロシ,ホトケオロシをすることから梓巫女の名がおこった。能の《葵上》には照日と呼ばれる巫女が梓弓の弦をはじいて口寄せする謡がある。…
…果実を利尿剤とし,材は軽いので下駄,器具,版木にする。昔は弓を作り,梓弓(あずさゆみ)と称した。若葉は食用になる。…
…実例としてしばしば挙げられてきたのは,アフリカ,南アメリカなどのものであるが,他の地域にも散在する。ヨーロッパでも一部で用いられたし,日本の梓巫女(あずさみこ)が用いる梓弓も楽弓の一種といえる。ただし,楽弓がほんとうに飛道具の転用に発したのか,逆に楽器が先立ったか,両者別源で形が似たのか,説が分かれている。…
※「梓弓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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