よしこの(読み)ヨシコノ

デジタル大辞泉 「よしこの」の意味・読み・例文・類語

よしこの

よしこの節」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「よしこの」の意味・読み・例文・類語

よしこの

  1. 〘 名詞 〙よしこのぶし(━節)」の略。
    1. [初出の実例]「只今下々で流行いたす、彼のよしこのなぞをお聴きに達しなば」(出典:歌舞伎・曾我中村龝取込(1826)三立)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「よしこの」の意味・わかりやすい解説

よしこの

江戸末期から明治初年にかけての流行歌であるが、基本的な旋律は不明。『守貞漫稿』(もりさだまんこう)には「よしこの一変してどゞいつ節(ぶし)となる」とあり、両者ふしは似通っていたという。元歌は「ままよ三度笠(さんどがさ)よこちょにかむり、たびは道づれ世はなさけ」で、1820、21年(文政3、4)ごろから江戸、京都、大坂で歌われた。名古屋の歌を記録した『小歌志彙集』(こうたしいしゅう)によると、22年流行の「三千世界」や30年(天保1)の歌「わが恋」も「よしこの」だという。しかし両曲の詞型は、元歌とは違って七七七五調ではない。ことに前者は端唄(はうた)の名曲としていまも歌われ、後者は花街のお座付(ざつき)唄として残っているが、旋律に類似性はない。阿波(あわ)踊の歌も「よしこの」というが、この曲節もまったく異なる。時代を経たとはいえ、このように詞型も曲節も相違する歌が「よしこの」と総称されたのは、民衆歌謡の種類が少なかったころだけに、はやり歌代名詞として「よしこの」の名が用いられたのではないかという推測を可能にさせる。

[倉田喜弘]

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