日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨツメウオ」の意味・わかりやすい解説
ヨツメウオ
よつめうお
four-eyed fish
[学] Anableps anableps
硬骨魚綱メダカ目ヨツメウオ科に属する汽水魚。属名でアナブレプスともよばれる。中央アメリカ熱帯部から南アメリカの北岸に分布。河口、マングローブ帯などの沿岸水域に生息し、ときには淡水中に侵入する。目は頭部上面に位置し、角膜が帯状の皮膚組織で水平に上下2部に仕切られており、上部を水面上に出して遊泳する。水面上と水中から別々に入った光は1個のレンズを通り、やはり2部に分かれた網膜に別々に像を結ぶ。全長30センチメートルに達する。ヨツメウオは卵胎生で、雄の臀(しり)びれは肥厚した棒状の交尾器に変形している。産出される仔魚(しぎょ)は全長3~4センチメートル。本種を含むアナブレプス属には、分布域がヨツメウオとほとんど同じであるミクロレピスA. microlepisと中央アメリカにのみに分布するドビーA. doviiがある。
[多紀保彦]