ラウシェンブッシュ(その他表記)Rauschenbusch, Walter

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラウシェンブッシュ」の意味・わかりやすい解説

ラウシェンブッシュ
Rauschenbusch, Walter

[生]1861.10.4. ロチェスター
[没]1918.7.25. ロチェスター
アメリカのバプテスト神学者。アメリカにおける社会的福音運動の指導者。ドイツに留学後ロチェスター大学と神学校で学ぶ。ドイツからの移民や労働者の多く住むニューヨーク貧民街に近い第2バプテスト教会牧師をつとめ,信徒の貧困とそれに由来する肉体的・精神的障害を体験して,社会的救済関心をもつようになった。ロチェスター神学校の新約聖書学教授 (1897~1902) ,同大学教会史教授をつとめるかたわら,資本主義経済の弊害から個人を救うには,キリスト教原則によって経済的秩序を改革しなければならないと説いた。主著"Christianity and the Social Crisis" (07) ,"Prayers of the Social Awakening" (10) ,"Christianizing the Social Order" (12) ,"A Theology for the Social Gospel" (17) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「ラウシェンブッシュ」の意味・わかりやすい解説

ラウシェンブッシュ
Walter Rauschenbusch
生没年:1861-1918

アメリカの神学者で社会的福音の代表的提唱者。バプティスト系のロチェスター神学大学教授(1897以降)。資本主義社会の生みだす社会問題にキリスト教が関心を持って取り組むべく,従来の個人的福音に対して社会的福音を説き,アメリカの教会が社会問題に対する態度を変えるのに大きな貢献をした。主著に《キリスト教と社会的危機》(1907)や《社会的福音の神学》(1917)がある。
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世界大百科事典(旧版)内のラウシェンブッシュの言及

【社会的福音】より

…それまで個人の魂の救いのみにかかわっていた福音を,社会的な救いをももたらす福音として理解し,児童労働の廃止,労働条件の改善などの,主として労働者の社会問題に取り組み,19世紀末から20世紀初期にいたるアメリカの教会と神学の一大勢力となった。代表的な指導者には,オハイオの会衆派教会の牧師で《社会的救い》(1902)を書いたグラデンWashington Gladden(1836‐1918),ハーバード大学の神学教授でユニテリアン派の牧師ピーボディFrancis G.Peabody(1847‐1936),シンシナティの会衆派教会の牧師で福音派同盟の総幹事として運動を組織化したストロングJosiah Strong(1847‐1916),そして社会的福音を人々の心と魂に訴えた北バプティスト派のロチェスター神学大学教授ラウシェンブッシュWalter Rauschenbusch(1861‐1918)がいる。とくにラウシェンブッシュの《キリスト教と社会的危機》(1907)や《社会的福音の神学》(1917)は多くの人々に読まれた。…

【社会的福音】より

…それまで個人の魂の救いのみにかかわっていた福音を,社会的な救いをももたらす福音として理解し,児童労働の廃止,労働条件の改善などの,主として労働者の社会問題に取り組み,19世紀末から20世紀初期にいたるアメリカの教会と神学の一大勢力となった。代表的な指導者には,オハイオの会衆派教会の牧師で《社会的救い》(1902)を書いたグラデンWashington Gladden(1836‐1918),ハーバード大学の神学教授でユニテリアン派の牧師ピーボディFrancis G.Peabody(1847‐1936),シンシナティの会衆派教会の牧師で福音派同盟の総幹事として運動を組織化したストロングJosiah Strong(1847‐1916),そして社会的福音を人々の心と魂に訴えた北バプティスト派のロチェスター神学大学教授ラウシェンブッシュWalter Rauschenbusch(1861‐1918)がいる。とくにラウシェンブッシュの《キリスト教と社会的危機》(1907)や《社会的福音の神学》(1917)は多くの人々に読まれた。…

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