ラスール朝(読み)ラスールちょう(英語表記)Rasūl

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラスール朝」の意味・わかりやすい解説

ラスール朝
ラスールちょう
Rasūl

イエメンにあったイスラム王朝 (1230~1453) 。ラスールとは使者の意味で,アッバース朝カリフの使者としてイエメン地方に派遣されてきたトルコ系の人物が興した王朝。 1174年からイエメン地方はエジプトアイユーブ朝の支配下にあったが,その軍隊を追放して同朝は興った。山岳地帯は伝統的にザイド派勢力の強い地方であったため,当初は海岸地帯を根拠地とし,次第に勢力を山岳地帯,ハドラマウトおよびヘジャズに伸ばし,一時はメッカをも支配下においた。同朝は,中国,インドと地中海地方との貿易の中継地として栄えたが,15世紀に入ると内戦のため,その勢力は衰え,やがて滅亡した。

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