家島(読み)いえしま

精選版 日本国語大辞典 「家島」の意味・読み・例文・類語

いえしま いへしま【家島】

家島諸島の主島。もと、伊刀(いと)島。瀬戸内海避難港がある。えじま。ええしま。

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日本歴史地名大系 「家島」の解説

家島
いえしま

[現在地名]家島町みや真浦まうら坊勢ぼうぜ奈座の浜なざのはま

「播磨国風土記」揖保いぼ浦上うらかみ里の条の次に家嶋とみえ人民が家を造って居住したので家嶋と号したといい、竹・黒葛が生えると記されるが、浦上里の所管地ではない。また同書揖保郡の条の冒頭にある伊刀いと嶋は四〇余の島々からなる家島群島の総称という。播磨灘に浮ぶ家島の名に古代人は郷愁を感じたのか、天平八年(七三六)の遣新羅使人らが家島に到着したときに詠んだ「家島は名にこそありけれ海原を吾が恋ひ来つる妹もあらなくに」などの歌五首(「万葉集」巻一五)をはじめ、のちには歌枕として多く詠まれている。「延喜式」左右馬寮の寮牧条によると、家嶋に放つ馬は寮別三〇疋、一〇月に放し飼いし、翌年三月下旬につなぎ取ることとされ、路次の国々が使いの食料や牽夫を提供することを規定している。「西宮記」にも馬寮家島牧が記される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「家島」の意味・わかりやすい解説

家島
いえしま

兵庫県南部、飾磨郡(しかまぐん)にあった旧町名(家島町(ちょう))。現在は姫路(ひめじ)市の本州地区から南西方向にある一地区。播磨灘(はりまなだ)に浮かぶ大小40余の家島諸島からなる。1928年(昭和3)町制施行。町名は「いえしま」だが、古くから「えじま」とよばれる。2006年(平成18)姫路市に編入。姫路市飾磨港から定期船の便がある。平地に乏しく、家島本島の宮や真浦(まうら)など集落は湾奥に密集している。古くから瀬戸内海航路の要地であり、避難港として知られるとともに、播磨灘の好漁場を控えた内海漁業の中心地でもあった。明治以後は、対岸の阪神地方や播磨工業地域の発展とともに、採石業海運業が盛んとなった。近年は養殖漁業や、瀬戸内海国立公園に含まれる美しい景観をいかした観光開発に努めている。飲料水不足が悩みで、船と海底送水管で赤穂(あこう)市からも供給を受けている。

[大槻 守]

『『家島町誌』(1979・家島町)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「家島」の意味・わかりやすい解説

家島
いえしま

兵庫県南部,姫路市南西部の旧町域。播磨灘北部にある家島諸島からなる。 1928年町制。 2006年姫路市に編入。主島は全人口の約6割を占める家島本島をはじめ坊勢島,男鹿島 (たんがじま) ,西島,太島,鞍掛島の6島。家島本島の宮,真浦が中心集落で本土との連絡の中心地。早くから花崗岩の石材切り出しと漁業で知られた。第2次世界大戦後,乱獲と水質汚濁魚類が減少し,現在は養殖と観光漁業が主。西島はハマチ養殖で有名。海底送水管を通じて赤穂市から飲料水の供給を受けている。一部が瀬戸内海国立公園に属し,観光施設の整備も進んでいる。

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デジタル大辞泉プラス 「家島」の解説

家島

兵庫県姫路市家島町、姫路港の南西約15キロメートルの播磨灘に位置する有人島。現在の正式な島名は「いえしま」だが、古くは「えしま」「えじま」とも呼ばれた。家島群島の主島で、面積は約5.46平方キロメートル。明治時代には男鹿島や西島で産出される石材の海上運搬業で栄えた。播磨灘総鎮守の家島神社がある。

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世界大百科事典(旧版)内の家島の言及

【宇治群島】より

草垣群島とともに川辺郡笠沙町に属する。東の宇治島(旧称家島。面積0.6km2,最高点96m)および西の宇治向島(1.7km2,最高点325m)と多くの岩礁からなる。…

【家島諸島】より

…もとは〈えじま〉と呼んだ。このうち人の住むのは家島本島,坊勢(ぼうぜ)島,男鹿(たんが)島,西島の4島で,行政的には飾磨(しかま)郡家島町に含まれ,家島本島に町役場が置かれている。面積19.7km2,人口9024(1995)。…

※「家島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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