ラテン権(読み)らてんけん(英語表記)ius Latii ラテン語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラテン権」の意味・わかりやすい解説

ラテン権
らてんけん
ius Latii ラテン語

古代ローマの、他のラテン都市国家との法的関係。紀元前338年のラテン都市同盟解体以前は通婚権・通商権を含む平等の関係であったが、それ以後は、少数の独立を許されたラテン都市国家が、通婚権・通商権のほか、ローマへの移住によってローマ市民権を獲得でき、暫時滞在で民会投票権を与えられることを含む権利となった。前2世紀にはラテン都市での政務官就任によってローマ市民権を獲得できる権利が、しだいに移住による市民権獲得にかわった。前89年、ポー川以北の共同体にラテン権が与えられるに及んで、ラテン権は民族的基礎と関係のない都市の格づけとなった。ハドリアヌス帝は都市参事会入りした者にローマ市民権獲得を許す「大ラテン権」を若干の都市に与えた。

[弓削 達]

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