他人の家屋に居住するためには,契約に基づく賃借権(借家権)が必要とされるが,賃借権がなくなった後にも,事実上,継続して居住できる権利をいう。賃借権は,賃貸借契約の期間が満了しても,法律上更新が保障され,賃借権が消滅することはないが,賃借人が死亡した場合に,直接に契約関係のなかった同居人に,そのまま居住を認めようとすることから,憲法25条の生存権の一つとして居住権といわれるようになった。法律上使われることばではないが,判例上は居住権的なものを認めているものがある。また判例法をうけて1966年に借家法7条の2が設けられ,賃借人が相続人なしに死亡した場合,同居の事実上の配偶者や養親子関係にある者が借家権を承継するとされているのは,居住権を認めたものとされ,この規定は1991年の借地借家法36条にうけつがれている。こうした場合を除けば,事実上の居住者に居住権が認められるわけではなく,無断で他人の家屋に居住していても,居住権ありとされるわけではない。
→借家
執筆者:山田 卓生
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家屋の居住者が継続して居住できる権利。法令上の用語ではないが、生存権(憲法25条)に基づき、居住を生存に必要な権利として主張する場合に用いられる観念で、中心となるのは借家権である。
[編集部]
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