改訂新版 世界大百科事典 「ラベオ」の意味・わかりやすい解説
ラベオ
Marcus Antistius Labeo
ローマ法古典期(元首政期)初期の代表的法学者。生没年不詳。南部イタリアの家系に属し,法務官は務めたが,アウグストゥス帝により提供されたコンスルの職を拒否したことが伝えられる。法学上の問題にしばしば新しい道を切り開き,また,哲学,弁論術,文法学などに幅広く通じ,すでに存命中より法学者としてきわめて高い評価が与えられ,プロクルス派(プロクルスS.Proculusを中心とするローマ法学の学統)の祖とする伝承も存在する。《法務官告示注解》《解答録》《書簡集》のほか,《十二表法注解》《神官団法論》など広い範囲にわたって400巻に達すると伝えられる多数の著作を残し,その後の法学者にきわめて大きな影響を与えた。
執筆者:西村 重雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報