日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラルー」の意味・わかりやすい解説
ラルー
らるー
René Lalou
(1889―1960)
フランスの批評家。ブローニュ・シュル・メールの生まれで大批評家サント・ブーブと同郷。高等中学校(リセ)の英語教師を経て(その間シェークスピアやキーツの翻訳)、各紙に文学時評を書く。主著は『現代フランス文学史』Histoire de la littérature française contemporaine上下(1922、47)や『現代英文学展望』(1927)。「人」よりは「作品」論に重きを置き、その細部への注視と鳥瞰(ちょうかん)的展望とがほどよく調和している。また、デカルトからプルーストに至るユニークな小説史や、サント・ブーブから説き起こしてボードレールに至る近代詩史を含む評論集『人間の擁護』(1926)や『叙情的錬金術に向けて』(1927)も無視しえない。
[松崎芳隆]
『小松清・武者小路実光訳『フランス詩の歩み』(白水社・文庫クセジュ)』▽『吉田健一訳『英文学史』(白水社・文庫クセジュ)』