ランパントカリエス(英語表記)rampant caries

改訂新版 世界大百科事典 「ランパントカリエス」の意味・わかりやすい解説

ランパントカリエス
rampant caries

いわゆる虫歯(専門的には齲食(うしよく)という)の罹患状態を表す用語の一つで,虫歯が突然に発現し,しかも多数の歯が同時に罹患するとともに,齲窩(うか)(虫歯の穴)が急速に深部へ進行しかつ広範囲に広がる型の虫歯をいう。したがってふつう虫歯にかかりにくい下あごの前歯も罹患するし,歯髄も感染しやすい。元来は永久歯の虫歯に対する名称で,永久歯がはえそろった10歳代後半の比較的きれいな口の中でみられ,女児に多く,一般にやせ型の子にみられやすいとされている。ところがこの用語を乳歯の虫歯に流用することがある。すなわち乳歯がはえそろってしばらくした3歳から5歳の幼児にみられる同様な虫歯罹患状態をさし,3歳児歯科検診でC型とされる虫歯罹患型に対して用いられることがある。最近このような広範囲にわたる虫歯罹患を示す幼児は減少しつつあるが,乳歯は永久歯に比べ,一度により多数の歯が広範囲にわたって罹患しやすく,しかも急速に進行しやすい特徴があるので,罹患歯を治療せず放置した結果上記のような虫歯罹患状態になっているものもあって,永久歯の虫歯に対する用い方と多少の違いがある。
虫歯
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

家庭医学館 「ランパントカリエス」の解説

らんぱんとかりえす【ランパント・カリエス Rampant Caries】

[どんな病気か]
 一度にかなり進行したむし歯が多数の歯にみられるもので、汎発性(はんぱつせい)う蝕(しょく)ともいいます。早い時期に歯髄(しずい)がおかされやすい特徴があります。多数の歯の歯ぐきとの境の部分が同時に褐色に変色し、歯がとけてやわらかくなります。
 以前は、このように多くの歯におよぶむし歯をもつ子どもが多数みられましたが、最近ではほとんどみかけなくなっています。
 この場合のむし歯のできる過程はふつうのむし歯と同じで、むし歯に対する抵抗力の弱い歯(2歳~5、6歳の乳歯(にゅうし)および11~19歳までの永久歯(えいきゅうし))にできます。原因は、糖分のとりすぎや、飲食の回数が多いことです。
 治療は、ふつうむし歯の治療と同様に、むし歯の病変部をとり除きそこに金属レジンなどをつめ、フッ素療法、歯垢(しこう)の除去歯みがきの指導などを行ないます。

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