改訂新版 世界大百科事典 「リスザル」の意味・わかりやすい解説
リスザル (栗鼠猿)
squirrel monkey
霊長目オマキザル科リスザル属Saimiriに属する新世界ザルの総称。コモンリスザルS.sciureaとセアカリスザルS.oerstediがいる。大型のリスほどの大きさで,ゲルディモンキーを除けばオマキザル科中もっとも小型である。頭胴長25~35cm。顔面は淡色だが,口のまわりだけが黒い。中南米の湿地帯から熱帯降雨林,乾燥林に至る広域に分布する。雑食性で,昆虫,果実,葉などを食べるが,とくに昆虫を好み,獲物をさがして活発に動き回る。複数のおとなの雄を含む20~200頭の群れをつくる。550頭という超大型の集団の例も報告されているが,群れの大きさの変異は森林の大きさや人間の影響にもよるらしい。繁殖期以外は,おとなの雄は集団の片隅に追いやられ,雌のほうが雄よりも優位になるという。また,繁殖期の前には,雄は肥満化してたくましい体格に変貌し,雄どうしの闘争がよく見られるようになるといわれている。近年,実験動物として注目され,人工的に繁殖を図り,医学,薬学などの実験に数多く用いられている。
執筆者:早木 仁成
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報