改訂新版 世界大百科事典 「リメリック」の意味・わかりやすい解説
リメリック
Limerick
アイルランド共和国第3の都市で,同名県の県都。アイルランド島西海岸,シャノン川の河口に位置する。人口5万4023(2002)。9世紀半ばごろデーン人がここを拠点として内陸部の略奪を行ったのが,町のはじまりとされている。ピューリタン革命中の1651年,イギリスのO.クロムウェル軍に包囲・攻撃され,4ヵ月余の抵抗の後陥落した。また,名誉革命の際にはイギリスを追われたジェームズ2世の軍勢の最後の拠点となったが,91年ウィリアム3世軍に降伏。その結果結ばれたリメリック条約にのっとり,希望した1万2000人のアイルランド将兵はフランスに渡り,アイルランド軍団として大陸で勇名をとどろかせた。現在,最大の産業は製粉業で,ハム,ベーコン,コンデンスミルクも名高い。既製服,タバコ,酪農製品,セメント,家庭電気製品,レース編み(家内工業)などの生産が盛んである。港は西海岸最大の規模である。なお,イギリスのノンセンス作家E.リアが一般化させたリメリック詩は,この町の名に由来する。
執筆者:上野 格
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報