シャノン川(その他表記)Shannon River

改訂新版 世界大百科事典 「シャノン川」の意味・わかりやすい解説

シャノン[川]
Shannon River

アイルランド島最長の川。全長370km。キャバン県と北アイルランドとの境に水源があり,中央平原を南下してアレン湖,リー湖,ダーグ湖を貫流し,リメリック市から西に90kmに及ぶ長大な三角江を形成して大西洋に注ぐ。両岸地盤が軟弱なこともあって橋が少なかったため,歴史的には,アイルランドを東西に分ける役割を果たしてきたが,1805年にタラモー市を経由してダブリン市に通ずる大運河が完成し,西部物産がダブリンからイギリスへと容易に出荷されるようになった。さらに,50年にはリメリックからアレン湖まで,つまり,この川の主要部分が航行可能となった。1929年にはリメリック市北方のアードナクルシャにアイルランドで最初の水力発電所が操業を開始した。これは現在でも同島最大の水力発電所である。三角江北岸にはシャノン国際空港があり,北アメリカ便およびロシア,キューバの貨物便でにぎわっている。空港地域は,また無関税の利点を生かした新工業地域として開発がすすめられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャノン川」の意味・わかりやすい解説

シャノン川
シャノンがわ
River Shannon

アイルランド最長の川。全長約 370km,流域面積約1万 5700km2。同国北部,カバン県北西部に源を発し,アレン,リー,ダーグなどの細長い湖を形成しながら,沼沢地や泥炭湿地の多い中央低地をほぼ南に流れ,リマリックで西に方向を変え,長さ 100km以上に及ぶ三角江をなして大西洋に注ぐ。途中東西方向のグランド,ロイヤル両運河が交差し,これによってアイルランド島東岸のダブリンと結ばれている。サック川ほか支流が多く,アイルランドの主要水力資源。かつては内陸水路として重要であったが,現在は沿岸の景勝地を対象とする観光船がおもに航行する。流路は多くの県の境界をなし,渡河可能の地が少なかったため川の両側に発展の差が生じ,西側の諸県は東側に比べ経済的に恵まれなかった。また渡河できる地点に橋がかけられ,そこに形成された集落が発展したものがリマリック,アスローン,キラロー,カリックオンシャノンなどの都市である。サケが産卵期に遡行する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャノン川」の意味・わかりやすい解説

シャノン川
しゃのんがわ
Shannon

アイルランド最大の河川。アイルランド北西部、スライゴー湾の東約50キロメートルの北部丘陵地帯に源を発し、南流して中央低地のアレン湖、リー湖、ダーグ湖など大小の氷食湖を通過して南西部に至り、大西洋に注ぐ。細長い河口最奥に港湾都市リムリックが位置する。同市の上流約3キロメートルからは感潮河川となる。全長370キロメートル、流域面積1万1648平方キロメートル。ロイヤル運河グランド運河によりダブリンと通じる。1929年にダムが完成し、アイルランド諸産業の電力源となってきた。

米田 巌]

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世界大百科事典(旧版)内のシャノン川の言及

【アイルランド】より

…氷河の移動により西部では土壌が取り除かれて岩の露出する不毛な地帯が形成され,東部には堆積物による肥沃な土地がつくられた。全島いたるところに沼沢地,泥炭地がみられるが,特にシャノン川流域には多い。アルスター地方との境にあたる部分には,西海岸から東海岸まで広く帯状に小丘陵(ドラムリン)がつらなり,昔は南部との交通も困難なほどであった。…

※「シャノン川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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