リメーク映画(読み)りめーくえいが(英語表記)remake movie

知恵蔵 「リメーク映画」の解説

リメーク映画

旧作や外国映画、テレビシリーズを再映像化した作品。日本では、「伊豆の踊子」や「楢山節考」「二十四の瞳」「ビルマ竪琴」「細雪」などの名作文学の再映画化が行われてきた。米国ハリウッドで2002年以降、日本を始めとするアジア諸国の映画をリメークする傾向が顕著になった。01年に行われた米国脚本家労働組合のストライキがハリウッドに深刻な企画不足を招いたためだ。そこで米大手映画各社は、知名度に加えて興行力のある外国映画のリメーク化権獲得に積極的に動いた。米国には字幕付きの映画を見る習慣がないため、字幕を付けるよりもリメークのほうが得策という考えもあるからだ。そうしてリメークされたのが、02年公開のゴア・ヴァービンスキー監督「THE RING」だった。スティーブン・スピルバーグのドリームワークスが、1998年に公開された中田秀夫監督「リング」のリメーク化権を獲得し、製作したもの。公開されると、その年の全米興行成績18位にランキングされた。さらに、「THE RING 2」や、「呪怨」を同じ清水崇監督でリメークした「THE JUON呪怨」は、どちらも全米でトップの興行成績を記録。周防正行監督の「Shall we ダンス?」のリメーク作品も好成績を上げた。その後、米国でリメークされた日本映画には、「仄暗い水の底から」(リメーク題名「ダーク・ウォーター」)、「南極物語」(同)などがある。またハリウッド自らも「宇宙戦争」「キング・コング」「ポセイドン・アドベンチャー」(「ポセイドン」)「オーメン」「オール・ザ・キングスメン」などのかつてのヒット作をリメーク。日本映画界も「戦国自衛隊」(「戦国自衛隊1549」)や「日本沈没」「犬神家の一族」「椿三十郎」などをリメークしている。

(宮本治雄 映画ライター / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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