日本大百科全書(ニッポニカ) 「キング・コング」の意味・わかりやすい解説
キング・コング
きんぐこんぐ
King Kong
アメリカ映画。1933年作品。メリアン・C・クーパーとアーネスト・シェードサックが製作・監督した怪獣映画の古典的名作。南海の孤島へ乗り込んだ撮影隊が、身長18メートルの巨猿キング・コングに女優(フェイ・レイ)をさらわれる。恋人の機関士(ブルース・キャボット)の決死の追跡によって女優は救われ、生け捕りにされたコングはニューヨークで見せ物になるが、太い鎖を引きちぎって暴れ出し、全市をパニックに陥れる。モデル・アニメーション特殊撮影の開祖ウィリス・オブライエンによる、人形アニメと、実写や書割などの合成によるトリックの入念さと、ダイナミックな演出で押しまくる1時間40分。ふたたび女優をさらったコングが高層ビルの頂上へ昇り詰め、戦闘機の機銃掃射でしだいに力尽き、女優を頂上に残して落ちてゆく結末の「美女と野獣」のパターンは、以後、無数の亜流やパロディーを生んだ。なお、カラーワイドによる76年度の再映画化版では、ほとんどが、縫いぐるみを着た人間によって演じられており、安易で大味な「大作」にとどまった。
[森 卓也]