翻訳|relay
継電器ともいい,19世紀の初め電信中継用として作られた。もっとも多く使われる電磁リレーは図のように小電力をコイルに入力したとき,電磁石の原理で動く接極子に連なる電気接点を閉じまたは開く。その際多数の接点によって数多くの回路を,または入力より大きな電流を断続できる。電磁リレーの特徴は入力回路と出力回路とが独立,過負荷や雷サージに強い,高信頼性,低価格などであり,用途は電話交換機,信号機,自動制御,電力の回路保護などである。電磁リレーは目的によってさまざまなものを実現できることが特徴の一つで,大きさも豆粒ほどのものから重さ数kgのものまである。また,電磁石の特性によって通常の無極リレーのほか,作用の遅いスローリレー,永久磁石を利用した高感度の有極リレー,強磁性リードを接点とするリードスイッチreed switchをコイルに収めたリードリレーreed relay,パルスで動かしたあと逆パルスの入力があるまで動作を持続するラッチングリレーlatching relay,交流でも働く交流リレーなどがある。接点の数は1組から数十組まで,接点の種類も大気中で用いるもの,ガス中に封入したもの,さらには水銀のぬれを利用したもの(水銀接点)まである。電磁リレーを最も数多く使うのは電話交換機で,日本電信電話(株)だけで数億個に達するため性能の優れたものが開発されている。電力用の保護継電器には電磁形以外に誘導形,電流力計形,可動コイル形など,電気計器の原理を応用したものが多い。利用する原理別にその他のリレーの種類をあげると,バイメタルによって温度変化を機械的変位に変えたり,サーミスターによって温度変化を検出する熱リレー,感光素子を組み入れた光電リレー,圧電または電わい現象によって変位を作る圧電気リレーなどがある。やや変わったものにバイブレーティングリードリレーvibrating reed relayがある。これは音叉(おんさ)を電気的に駆動したとき,共振周波数に相当する入力に対してだけ動作するもので,自動車無線,ポケットベルなどで呼出し選択に利用される。
執筆者:谷井 琢也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
あらかじめ定められた電気的量、物理的量に応じて動作し、電気回路を制御する機能をもった装置。継電器ともいう。基本的にリレーは、電圧、電流、あるいは位置、速度、温度などの物理量について、その大きさ、振幅、周波数、極性、継続時間などが所定の値に達する(あるいは特定の帯域に移行する)ことにより、この変化を検出して他の電気回路の開閉を制御するものであり、電力系統の保護リレー、多種多様な電力機器の保護・制御用リレー、家庭用電気器具の保護・制御用リレー、通信用リレーなどその機能や用途によって多種多様なものがある。1990年ごろからはアナログ方式リレーによる保護・制御にかわってマイクロプロセッサーによる、より高度で高速なデジタル方式の保護・制御が普及してきている。
[内田直之]
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