レーン(読み)れーん(その他表記)Jean-Marie Lehn

デジタル大辞泉 「レーン」の意味・読み・例文・類語

レーン(lane)

車線。また、交通路。「バス専用レーン
競走・競泳のコース
ボウリングで、球をころがす床。

レーン(rain)

レイン

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精選版 日本国語大辞典 「レーン」の意味・読み・例文・類語

レーン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] lane )[ 異表記 ] レイン
  2. 道路の車線。また、交通路。「自転車専用レーン」
  3. ボウリングで、ボールをころがす床。
  4. 陸上競技・競泳で、セパレートコースの個々のコース。
  5. ボートレースの各艇の漕路。
    1. [初出の実例]「競艇コオスは〈略〉北側の第一レインを割り当てられ」(出典:オリンポスの果実(1940)〈田中英光〉一七)

レーン

  1. 〘 造語要素 〙 ( [英語] rain )[ 異表記 ] レイン 「雨の」「雨天用の」の意で複合語をつくる。「レーンコート」「レーンシューズ」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レーン」の意味・わかりやすい解説

レーン(Jean-Marie Lehn)
れーん
Jean-Marie Lehn
(1939― )

フランスの化学者。アルザス地方の古い町ロスハイムに生まれる。ストラスブール大学で化学を学び、1963年同大学で博士号を取得した。ハーバード大学留学を経て、1966年ストラスブール大学の助教授になり、1970年教授に昇格した。1972年と1974年にハーバード大学の客員教授も務め、1979年からはコレージュ・ド・フランスの化学教授を兼任した。

 レーンは、ハーバード大学時代にR・B・ウッドワードがビタミンB12の合成に成功した研究に参加した。ストラスブール大学に戻ってからは物理有機化学の分野で研究を進め、C・J・ペダーセンの発見したクラウンエーテルの三次元構造を追究した。クラウンエーテルは特定の化合物イオンを選択的に取り込む性質をもつが、レーンが合成に成功した三次元環化合物はさらに選択性が高いものでクリプタンドと名づけられた。その後もクリプタンドの研究を進め、「超分子化学」という新分野を開拓した。1987年に「高い選択性のある構造特異的な相互作用をおこす分子の開発と利用」の研究に貢献したとしてノーベル化学賞をペダーセンとともに受賞した。同様にクラウンエーテルの研究を進めたD・J・クラムも同時受賞した。

[編集部 2018年12月13日]

『J・M・レーン著、竹内敬人訳『レーン 超分子化学』(1997・化学同人)』


レーン(封土)
れーん
Lehn ドイツ語

中世西ヨーロッパの封建制度において、家臣(封臣)に対し、その奉仕(多くの場合騎士としての軍役奉仕)の代償として主人(封主)が授与する土地(所領)。一般に封土と訳される。恩貸地(ラテン語でベネフィキウムBeneficium)ともいう。英語やフランス語ではfiefということばで表現される。封建制度を意味するドイツ語の術語「レーン制」LehnswesenがLehnからつくられたように、英語のfeudalism、フランス語のféodalitéも、fiefのラテン語形feudum (feodum)からつくられた。fiefの語源はかならずしも明らかでないが、家畜を意味するゲルマン語(現在のドイツ語のViehにあたる)だったとする説が有力である。ドイツ語のLehnはLeiheなどと同根で、一般に借地を意味した。

 レーンとして授与されるもの(これをレーン材という)は、土地=所領である場合が大部分であったが、グラーフ(伯)職や大公職のような官職、また高級裁判権、関税徴収権、貨幣鋳造権、市場開設権、鉱山採掘権のような経済的収益を伴う権利(これらはもともと国王の大権事項、すなわちレガリアであった)もまた、レーンとして与えられた。さらに中世末期になると、年金の形で現金を支給することにより封建関係を取り結ぶ慣行も生まれた。このようなレーンはmoney fief(英語)、fief rente(フランス語)、Rentenlehn(ドイツ語)とよばれた。家臣(受封者)が封建的義務を履行しない場合にはレーンは没収されたし、受封者が死亡するとレーンは回収されるのが原則であったが、しだいにレーンに対する受封者の側の世襲権が確立し、レーンの没収も主従間の力関係いかんによっては実行不可能な場合もあった。とくにドイツでは13世紀以降、没収したレーンは、1年と1日以内に新しい受封者に再授封しなければならないという、いわゆる授封強制の原則が成立した。

[平城照介]

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化学辞典 第2版 「レーン」の解説

レーン
レーン
Lehn, Jean-Marie Pierre

フランスの有機化学者.とくに超分子化学の研究で知られる.ストラスブール大学で有機化学を学んだのち,フランス国立科学センター(CNRS)のG. Ourisson研究室で研究を行った.1963年ストラスブール大学からPh.D.を取得.その後,ハーバード大学のR.B. Woodword(ウッドワード)のもとで研究を行った.その後,ストラスブール大学へ戻り,1970年教授,1979年からはパリのコレージュ・ド・フランスの教授にも就任した.トリテルペンの構造と物理化学的性質に関する研究,Woodwordらとビタミン B12 の研究を行い,1960年代後半からは,クラウンエーテルと同様の機能を有する二環式化合物であるクリプタンドの研究をはじめた.分子認識や超分子化学の分野を開拓した功績により,1987年D.J. Cram(クラム)およびC.J. Pedersen(ペダーセン)とともにノーベル化学賞を受賞した.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

知恵蔵 「レーン」の解説

レーン

トラック競技の走路。1人分の幅は1.22〜1.25m。5cm幅の白線で区切られている。一般的には8レーンのトラックが多いが、近年は9レーンを設ける競技場も多くなった。フィールド側に近い1、2レーンをイン、スタンド側の7、8レーンをアウトと呼ぶ。400mまでの種目はスタートしてフィニッシュするまで、自分に割り当てられたレーンを走らなければならず(セパレート)、1500m以上はオープンといって特にレーンの規制はない。800mは最初のコーナーを回りきるまでセパレートで、以後オープンになる。どの種目も距離をカットするために本来のレーンを逸脱したり、他の選手の走行を妨害した場合には、インターフェア(レーン侵害)で失格だが、レーンの外側に出て他の選手の妨げにならなかった場合は救済することもある。

(小森貞子 スポーツライター / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レーン」の意味・わかりやすい解説

レーン
Lehn, Jean-Marie

[生]1939.9.30. フランス,ロースハイム
フランスの化学者。 1963年ストラスブール大学で博士号を取得,70年同地のルイ・パスツール大学教授,79年パリのコレージュ・ド・フランス教授。 C.J.ペダーセンが合成した2次元の環状化合物クラウン・エーテルを3次元に発展させる研究を進め,アセチルコリンの受容体に相当する物質クリプタンドの合成に成功した。これはクラウン・エーテルより選択性が高く,アニオンの認識機能ももつ物質で,化学,医学をはじめ多分野への応用が期待された。 87年ペダーセン,D.J.クラムとともにノーベル化学賞を受賞。

レーン
Lane, Robert Edward

[生]1917.8.19. フィラデルフィア
アメリカの政治学者。精神分析学の方法を用いて政治的イデオロギーの社会的文化的源泉を分析した。主著"Political Ideology: Why the American Common Man Believes in What He Does" (1962) 。

レーン
Leh(e)n

ドイツ語で封建制の物的基盤である封土のことをさす。主として知行の対象となる土地のことであるが,官位,権利,まれには定期金 (収入源) をさす場合もある。 12世紀末まではベネフィキウムとも呼ばれた。このほか,農民の小作地を呼ぶのに用いることもある。

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世界大百科事典(旧版)内のレーンの言及

【グラーフ】より

…グラーフははじめ国王が自由に任免できる官吏であったが,7世紀初頭に在地有力者でなければグラーフになりえないことが規定された結果,官僚的性格が薄れ,領主化の傾向が強まった。 カロリング朝の国王,とりわけカール大帝は,新たにフランク王国に組み込まれたライン以東の地域にもグラーフ制度の導入を推進するとともに,アウストラシア地域出身の国王の家臣層(ウァッシ・ドミニキ)をグラーフとして各地に送り込んで官僚化の再建をはかり,在地の有力者をグラーフに任命する場合にも,国王に家臣としてのレーン制的誠実義務を宣誓することを強制した。さらに定期的に巡察使を派遣して,グラーフの職務遂行を監督させた。…

【封建制度】より

…しかし,細部の違いを捨象して巨視的にみれば,ほぼ次の四つの概念類型を区別することができよう。(1)ドイツの学者のいう〈レーン制Leh(e)nswesen〉(レーエン制とも呼ばれる)の意味に用いる用法。レーン制については後述するが,さしあたり次の諸点を注意されたい。…

※「レーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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