リン酸トリクレシル(読み)りんさんとりくれしるでーたのーと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リン酸トリクレシル」の意味・わかりやすい解説

リン酸トリクレシル(データノート)
りんさんとりくれしるでーたのーと

リン酸トリクレシル
  (CH3C6H4O)3PO
 分子式 C21H21O4P
 分子量 368
 融点  -35℃以下
 沸点  235~255℃/4mmHg
 比重  1.165~1.168(測定温度20℃)
 屈折率 (n) 1.553~1.556
 引火点 225℃


リン酸トリクレシル
りんさんとりくれしる
tricresyl phosphate

リン酸エステル一種。略号TCP。クレゾールとオキシ塩化リンとを塩化アルミニウムなどの触媒で脱塩素縮合させて得る。無臭またはかすかなフェノール臭をもつ液体。ビニル系、セルロース系合成樹脂とはとくに良好な適合性をもち、可塑剤として用いられる。とくにポリ塩化ビニルPCV)可塑剤として知られる。

垣内 弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のリン酸トリクレシルの言及

【可塑剤】より

… ポリ塩化ビニルの可塑剤としてよく用いられるのは,フタル酸ジオクチルdioctyl phthalate(DOP),フタル酸ジブチルdibutyl phthalate(DBP)などのフタル酸エステル類である。可塑性のほか,難燃性や耐油性を改良するため,リン酸トリクレシルtricresyl phosphate(TCP)などのリン酸エステルも用いられる。ポリ塩化ビニルは光や熱によって分解し,塩化水素を発生するが,この塩化水素をとらえる働きをもつ可塑剤として,エポキシ化合物も用いられる。…

※「リン酸トリクレシル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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