ルスランとリュドミラ(読み)るすらんとりゅどみら(英語表記)Руслан и Людмила/Ruslan i Lyudmila

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルスランとリュドミラ」の意味・わかりやすい解説

ルスランとリュドミラ
るすらんとりゅどみら
Руслан и Людмила/Ruslan i Lyudmila

ロシアの作曲家グリンカが1841年に完成した五幕の歌劇プーシキンの同名の詩をもとに、作曲者を含む5人が台本を共作した。勇者ルスランが数々の困難と戦いながら異境に連れ去られたリュドミラ姫を救い出すという筋(すじ)にふさわしく、この作品にはトルコリズムペルシア旋法など、ロシアに隣接する東洋諸国の音楽的要素がふんだんに取り入れられ、ロシア国民楽派によるオリエンタリズムの先駆的存在となっている。華やかで力強い序曲は人気が高く、単独で演奏会のプログラムを飾ることも多い。1842年にペテルブルグで初演された。

[三宅幸夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のルスランとリュドミラの言及

【グリンカ】より

…これはロシア国民音楽の出発点ともなる歴史的事件であった。42年にはオペラの第2作《ルスランとリュドミラ》を初演した。この二つのオペラは,ロシア史やロシア民話に主題を選ぶという点でも,ロシア民謡だけでなく東方のいろいろな音楽語法をとり入れるという点でも,集団的な場面やロシア的ユーモアを織り込むという劇作法の面でも,のちのロシア・オペラの模範となった。…

【ロシア・ソビエト音楽】より

…グリンカのオペラ《皇帝にささげた命》(1836。《イワン・スサーニン》とも呼ぶ)と,《ルスランとリュドミラ》(1842)は,それまでのジングシュピール的な歌芝居を超えて,本格的なロマン主義オペラとして位置づけられる。彼の管弦楽曲《カマリンスカヤ》(1848)と二つの《スペイン序曲第1番》(1845),《同第2番》(1851)はロシア管弦楽の出発点として高い評価を得ている。…

※「ルスランとリュドミラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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