日本大百科全書(ニッポニカ) 「レビモンタルチーニ」の意味・わかりやすい解説
レビモンタルチーニ
れびもんたるちーに
Rita Levi-Montalcini
(1909―2012)
イタリアの生物学者。双子の姉妹としてトリノに生まれる。トリノ大学医学部を1936年に卒業、さらに専門課程を1940年に修了した。第二次世界大戦が始まり、ユダヤ系であったためファシスト政権下では大学に職を得ることができず、苦労して研究を続けた。終戦後の1945年にトリノ大学に戻ったが、1947年に渡米してワシントン大学の研究助手となり、1956年に同大学の準教授、1958年教授に昇格、1977年まで務めた。またイタリアでも、高等保健研究所、国立研究機構細胞生物研究所で研究を行った。
ワシントン大学で発生の研究を行った際に、ニワトリの胚(はい)にマウスの腫瘍(しゅよう)を移植したところ、胚の神経細胞が急速に増殖することを発見、この成長を促す未知の物質の研究を続けた。1953年にS・コーエンが研究チームに加わり、やがて彼らは神経成長因子(NGF:nerve growth factor)をみつけだすことに成功した。この因子は、ホルモンとは違うタイプの成長を促す物質で、のちに各種発見されている。これらの業績により1986年に、コーエンとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。
[編集部 2018年12月13日]
『シャロン・バーチュ・マグレイン著、中村桂子監訳『お母さん、ノーベル賞をもらう――科学を愛した14人の素敵な生き方』(1996・工作舎)』