日本大百科全書(ニッポニカ) 「レプケ」の意味・わかりやすい解説
レプケ
れぷけ
Wilhelm Röpke
(1899―1966)
ドイツの経済学者、社会学者。マールブルク、グラーツ、イエナの各大学の教授を歴任し、1933年ナチスに反対して亡命、その後はイスタンブール大学教授、ジュネーブの国際問題大学院の教授などを務めた。オーストリア学派の流れをくみ、L・E・ミーゼス、F・A・ハイエクと並んで、ヨーロッパ大陸における新自由主義の指導的な学者であった。現代ヨーロッパ社会の危機から脱するために、集団主義に反対するとともに、歴史的な資本主義にも批判的であり、それらにかわるものとして、経済ヒューマニズムに基礎を置く第三の道を提唱し、秩序自由主義を志向して、戦後旧西ドイツの経済政策にも大きな影響を与え、W・オイケンとともに旧西ドイツ経済の再建に指導的な役割を果たした。おもな著書には『経済恐慌と景気変動』Krise und Konjunktur(1932)や『ヒューマニズムの経済学』Civitas Humana : Grundfragen der Gesellschafts-und Wirtschaftsreform(1944)などがある。
[志田 明]
『有井治訳『経済恐慌と景気変動』(1944・実業之日本社)』▽『喜多村浩訳『ヒューマニズムの経済学』上下(1952、1954・勁草書房)』▽『ウィルヘルム・レプケ著、西村光夫訳『自由社会の経済学』(1974/新装版・1982・日本経済評論社)』