改訂新版 世界大百科事典 「レミニッセンス」の意味・わかりやすい解説
レミニッセンス
reminiscence
一般には想起改善,潜在的記憶を意味するが,心理学的には記憶した事柄がある程度時間を経るとかえって明確に想起されることをさす。大人より児童に現れやすく,また多くのことを不完全に記銘した場合に生じやすいといわれる。この現象はバラードP.B.Ballardによって明らかにされた(1913)。それによると,有意味の記憶材料は記銘されてから2~3日で最大のレミニッセンスを示すが,これをバラード=ウィリアムズ現象Ballard-Williams phenomenaとよんでいる。また無意味な事柄の記憶や運動学習などは5~10分後に思い出されやすく,これを短時間レミニッセンスまたはウォード=ホブランド現象Ward-Hovland phenomenaとよぶ。
執筆者:武正 建一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報