改訂新版 世界大百科事典 「レーデブライト」の意味・わかりやすい解説
レーデブライト
ledeburite
ケイ素の量がやや少ない鋳鉄を溶融状態から比較的速い速度で冷却していくと,〈液相─→オーステナイト+セメンタイト(Fe3C)〉の共晶反応が起こる。このとき得られる組織をレーデブライトという。液相から直接共晶反応が起こる組成を共晶組成というが,共晶組成より鉄側の組成(亜共晶組成)をもつ鋳鉄では冷却中まずオーステナイト(初晶オーステナイト)が生じ,その後に共晶反応が起こる。さらに冷却すると初晶オーステナイトおよびレーデブライト共晶中のオーステナイトはセメンタイトを析出しながら共析温度に達し,パーライトを生成する。常温では共晶セメンタイトとパーライトの混合組織となるが,このような組織を有する鋳鉄は破面が白いので白鋳鉄あるいは白銑と呼ばれる。
→鋼(はがね)
執筆者:柴田 浩司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報