ロケットによって打ち上げ,落下の途中で高層大気の気象観測を行う一種のラジオゾンデ。通常の気球によるラジオゾンデの平均到達高度は25~30kmであるが,現在日本で用いられているロケットゾンデでは約60kmまでの観測が可能である。日本では1970年夏から気象ロケットMT-135Pを使用し岩手県三陸町綾里の気象ロケット観測所でほぼ週1回の打上げが行われている。このロケットは,発射後約110秒で最高点(約60km)に達し,ゾンデを放出する。ゾンデはパラシュートによって落下し,その途中にゾンデ観測が行われる。このゾンデは地上のエコーゾンデ観測装置から発信されるパルス電波に応答して二つのパルスを返信する。このうち第1の返信パルスは地上観測点とゾンデとの直距離を示し,第1と第2のパルス間隔が温度情報を与える。このようにして,地上観測点で,ゾンデまでの距離,温度,それにゾンデの高度角と方位角が得られる。これからゾンデの位置がわかり,時間差分をとって風向・風速が算出できる。
執筆者:竹内 清秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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