ラジオゾンデ(読み)らじおぞんで(英語表記)radiosonde

翻訳|radiosonde

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラジオゾンデ」の意味・わかりやすい解説

ラジオゾンデ
らじおぞんで
radiosonde

小型の無線発信機を使った高層気象観測装置。これを、水素あるいはヘリウムガスを入れた気球につり下げて飛揚する。1928年に旧ソ連のモルチャノフP. A. Molchanovその他によって、初めて考案された。普通は気圧気温湿度の三要素を測定するが、低温での湿度観測を目的とした露点ゾンデ大気の電気伝導度を測る電気ゾンデ、放射収支測定用のゾンデなどもある。高さ2キロメートルくらいまでの観測には低層ゾンデが使用される。500メートル程度までならカイトゾンデkitesondeも有効であって、測定装置を繰り返し使用できる利点がある。パラシュートをつけて飛行機などから投下し、地面までの観測を行うのはドロップゾンデdropsondeとよばれる。現在日本で使用されている普通のラジオゾンデは80型(1980年製作開始)と名づけられ、1680メガヘルツの電波に観測データ変調信号をのせる。アネロイド気圧計、サーミスタ温度計、カーボン湿度計で三要素を測定する。白く塗装したサーミスタ温度計は、発振部などの収容箱から外方に出した枠に取り付ける。1800ヘルツの基準信号と3種の測定データ信号が、3秒置きに順次切り換えて発信される。地上観測点で受信結果を処理して観測データを算定する方式は、近年各国自動化が採用されつつある。80型も、コンピュータ処理による自動化を目ざしたものである。

[篠原武次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラジオゾンデ」の意味・わかりやすい解説

ラジオゾンデ
radiosonde

上空大気の状態(気圧,気温,湿度,風向風速などの気象要素)を自動的に測定するセンサを搭載し,測定した情報を送信するための無線送信機を備えた気象観測器具。温度計と湿度計はラジオゾンデから突き出たアームに取り付けられており,気圧計や無線送信機,電池などはラジオゾンデの本体内部にある。水素ガスなどを詰めたゴム気球につるして飛揚させ,1分間に 300~400mの速度で上昇させながら,地上から高度約 30kmまでの大気の状態を観測する。観測終了後はパラシュートで地上に降下する。観測の対象,方法により,レーウィンゾンデ,GPSゾンデ(→全地球測位システム),オゾンゾンデなどの種類に分けられる。レーウィンゾンデは,気圧計,温度計,湿度計と無線送信機で構成され,レーウィンゾンデからの信号を地上のパラボラアンテナで追跡し,受信することにより,気圧,気温,湿度,風向,風速を測定する。GPSゾンデは,温度計,湿度計,GPS受信機,無線送信機で構成され,地上で GPSゾンデからの信号と GPS衛星からの信号を受信・処理することで気圧,気温,湿度,風向,風速を測定する。オゾンゾンデはレーウィンゾンデまたは GPSゾンデとオゾンを測定する観測測器で構成され,気圧,気温,湿度,風向,風速,オゾン量を測定する。

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