ロケーションフリー(読み)ろけーしょんふりー(英語表記)Location free

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロケーションフリー」の意味・わかりやすい解説

ロケーションフリー
ろけーしょんふりー
Location free

いつでもどこでも自宅同様のテレビ映像が楽しめるようにと、ソニーが開発したインターネット利用の視聴(AV)システム。自宅で受信したテレビやDVDなどに録画した映像を、屋内では無線LAN、外出先や国外ではブロードバンドに接続できればインターネットを経由して、パソコンや携帯端末などにリモコン操作で転送させることにより、場所と時間を問わずテレビ映像が視聴できる。システムの原型はソニーが2000年に「エアボード」として発表したが、改良されてラインアップが拡充されるとともにソニーの登録商標である「ロケーションフリー」(通称「ロケフリ」)に改名されて販売されている。

 ロケーションフリーシステムは、自宅内の比較的小型のベースステーションの受像側に受信アンテナやAV機器、送信側にインターネットの回線と外部端末とを接続して構成される。ベースステーションから転送された信号は外部端末またはインターネットに接続された特定受像機で受像する。リクエストは受像機の画面上のソフトウェアリモコン(仮想リモコン・パッド)で、家庭内にあるAV機器の受光部近くに設置した「AVマウス」の赤外線を操作して行う。

 受像機には専用のロケーションフリーテレビ(液晶)があるが、Windowsパソコン、携帯ゲーム機プレイステーション・ポータブルPSP:2004年ソニー・コンピュータエンタテインメント発売)でも受像でき、さらに、Macパソコン、携帯情報端末でも利用できるよう展開を図っている。

 似た製品にはアメリカのSlingboxがあるが、北米、イギリス、台湾のみの販売で、日本では販売されていない。

[岩田倫典]

『デジタル放送研究会著『図解 デジタル放送の技術とサービス』(2006・技術評論社)』『柴田格・平沢寿康著『ロケフリの本――ソニーロケーションフリーベースステーション徹底活用』(2007・技術評論社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵 「ロケーションフリー」の解説

ロケーション・フリー

外出先で、インターネットと無線LANを通じ、自宅のAV機器の映像・音声をモニターする技術。ソニーが開発。例えば、日本のビジネスパーソンが出張先のロサンゼルスで、国内と同様にNHKの大相撲中継をそのまま楽しめる。ソニーのゲーム端末PSPにはこの機能が標準装備され、パソコン用のソフトも販売されている。私的使用の範囲内なので、著作権についての問題も生じない。ソニー以外からも、同様の機器が発売されている。デジタル機器の活用にはソフト的なサービスが不可欠といわれる昨今にあって、サービスではなくハードの力で有意義なインターネット活用ができることを示している。懸案のハイビジョン伝送も実現した。

(麻倉怜士 デジタル・メディア評論家 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「ロケーションフリー」の解説

ロケーションフリー

ソニーが発売している、家の中でワイヤレスでテレビを見たり、外出先からインターネット経由でテレビを見られる機器。テレビアンテナを接続したベースステーションに無線LANまたはインターネット経由でアクセスし、PSPまたはパソコンの専用ソフトを使って視聴できる。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

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