大学事典 「ロックフェラー大学」の解説
ロックフェラー大学[アメリカ]
ロックフェラーだいがく
ニューヨーク市にある,生命科学分野およびそれに関連した化学,生物情報学(bioinformatics),物理学などの基礎的分野のみを持つ私立の研究大学。学士課程は持たない。学科(department)制をとらず,分野横断的な研究を促進する機構と伝統を持ち,生命科学分野で高い研究水準と世界的名声を誇る。1901年ジョン・D. ロックフェラー1世,J.D.の寄付により,アメリカ合衆国で最初の生命医学研究施設であるロックフェラー医学研究所(アメリカ)(Rockefeller Institute for Medical Research)として設立,10年アメリカで最初の臨床研究センターとしての病院を開いた。ロックフェラーの学者たちは,がんを引き起こすラウス肉腫ウイルスの発見,タバコモザイクウイルスの結晶化,DNAが遺伝を司る実体である物質であることの発見と確立,固相ペプチド合成法の開発,抗体の構造決定など,生命医学の分野で数多くの記念碑的な業績を打ち立てた。1955年最初の大学院生を受け入れ,65年ロックフェラー大学と名称を変更,現在,M.D. /Ph.D. およびPh.D. の学位を提供している。
著者: 赤羽良一
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報