改訂新版 世界大百科事典 「ロックボルト」の意味・わかりやすい解説
ロックボルト
rock bolt
鉱山や炭鉱の坑内の支保の一種。ルーフボルトroof boltともいう。第2次大戦後アメリカから紹介された技術で,坑道の周囲の岩盤に直径36~40mm,深さ2m程度のボアホール(せん孔)をうがち,これにボルトを打ち込んで固定させる。ロックボルトの原理は二つあり,一つは分離しやすい直接天盤の上の岩石がじょうぶな場合,これにボルトで直接天盤をつるすようにする。他の一つは薄くはがれやすい岩層を何層かとじ合わせて一つの梁(はり)または桁(けた)として盤圧を支えようとするものである。この原理に基づいてロックボルトの岩盤への接着形式は先端接着形と全面接着形とに分けられ,接着方法に基づいて両者とも機械式(くさび式),樹脂式,モルタル式に分けられる。ロックボルトは岩盤の状況に応じてその太さ,長さ等は種々のものが用いられるが,炭鉱,鉱山で一般的なものは直径22mm,長さ2m程度の全面接着形で,1m前後の間隔で施工されている。この支保は従来の支保のように目に見える支持物がないため不安を感ずる向きもあり,岩盤のじょうぶな金属鉱山ではこの方式だけで支持されている坑道があるが,炭鉱では鋼枠支保の補助として枠間に施工している。また盤ぶくれ防止対策として,坑道の下盤にロックボルトを使用する場合もある。
また土木工事では,トンネルその他の地下構造物の支保として,ロックボルトとコンクリート吹付けを組み合わせた工法が用いられている。
執筆者:大橋 脩作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報