改訂新版 世界大百科事典 「ワタノメイガ」の意味・わかりやすい解説
ワタノメイガ (棉野螟蛾)
Notarcha derogata
鱗翅目メイガ科の昆虫。翅の開張2.5~3cm。体・翅とも淡黄色。翅には灰褐色の横線が3~4本あり,横脈上と前翅中室内に環状の紋がある。外縁は黒褐色線で縁取られている。ほとんど日本の全域から隣接大陸,アジアの熱帯,亜熱帯からオーストラリアに広く分布している。年2~3回の発生で,成虫はよく灯火に飛来する。幼虫はアオイ科のワタ,フヨウ,ムクゲ,アオギリ科やゴマノハグサ科のキリなどの葉を食べる害虫とされている。淡緑色の芋虫で,頭部は黒褐色。幼虫態で越冬し,翌年5~6月に第1回目の成虫が羽化して産卵する。孵化(ふか)した幼虫は,はじめ葉の裏の葉脈に沿って糸を張り,表皮と葉肉を食べるが,やや成長すると,葉を管状に巻いて,その中にすんで食害する。成熟すると巻葉も大きくなり,葉を食いつくしてしまう。観賞用に植栽されるフヨウやムクゲに多発すると,葉が食い荒らされて丸坊主になる。
執筆者:井上 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報