議員定数を人口比に基づいて配分する計算方法の一つ。人口比を反映しやすいとされる。米国の第6代大統領アダムズ氏が提唱したとされる。小選挙区で適用する場合、各都道府県の人口を「ある数X」で割り、出た値の小数点以下を切り上げて定数とする。Xは定数の合計が総定数と等しくなるよう調整する。2016年に成立した衆院選挙制度改革関連法により、20年国勢調査に基づき導入することが決定した。
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人口比を重視して議員定数を配分する方法の一つ。1830年代にアメリカの第6代大統領ジョン・クインシー・アダムズが提唱したことから、こうよばれる。アダムズ方式では、まず州や都道府県など一定地域の人口を仮の「特定数X」(基準除数)で割り、商の小数点以下を切り上げた整数を、その地域の議員定数とする。次に、すべての地域の議員定数の合計値が総定数と等しくなるようにXを調整・決定する仕組みである。国勢調査などに基づいて議員定数を割り振るため、人口比により正確な配分ができ、1票の格差を是正する効果があるとされる。日本では、2023年(令和5)以降に行われる衆議院選挙から、小選挙区の都道府県への定数配分と比例ブロックへの定数配分に適用される。
日本の衆議院選挙小選挙区では、都道府県にまず定数1を配分し、残りを人口比で配分する「1人別枠方式」をとっていた。しかし最高裁判所は2011年(平成23)、都道府県間の1票の格差(2009年衆議院選挙で2.30倍)を違憲状態と判断し、1人別枠方式の廃止を求めた。これを受け衆議院選挙制度改革関連法(2016)や改正公職選挙法(2022)などが成立し、10年ごとの国勢調査(大規模調査)に基づき、日本で初めて、衆議院小選挙区の都道府県への定数配分などにアダムズ方式を適用することが決まった。
一般に議席配分は、議席数が整数のため、数学的に厳密に人口比で配分すると、剰余(小数点以下)が生じる。このため議席配分方法には、整数部分の配分を決めた後、(1)小数点以下の数値の大きい選挙区から順番に議席を配分する最大剰余方式、(2)小数点以下を切り上げるアダムズ方式、(3)小数点以下を四捨五入するサンラグ方式、(4)小数点以下を切り捨てるドント方式、などがある。アダムズ方式は小数点以下を切り上げるため、人口が少ない地域に有利な配分方法とされている。
[矢野 武 2023年7月19日]
(原田英美 ライター/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
(2015-11-24)
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