アチェー(読み)あちぇー(その他表記)Atjehnese

デジタル大辞泉 「アチェー」の意味・読み・例文・類語

アチェー(Aceh)

インドネシア、スマトラ島北西端を占める州。2001年までアチェー特別州、2002年からナングロアチェーダルサラーム州、2009年から現名称になった。州都バンダアチェー。15世紀よりイスラム教が定着し、同国の中でもイスラム信仰が強い。19世紀後半から20世紀初頭にかけてオランダに抵抗するアチェー戦争が続いた。1970年代よりインドネシアからの分離独立を主張して内戦状態が続き、2004年のスマトラ沖地震を機に休戦。2005年に和平協定が結ばれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アチェー」の意味・わかりやすい解説

アチェー(民族)
あちぇー
Atjehnese
Achehnese
Achinese
Atchinese

インドネシアのスマトラ島北部に住むモンゴロイド系種族(民族集団)。アチェー語はオーストロネシア語に属し、マレー語に近い言語である。総人口は約307万(1990)。6世紀にはインドの支配下にあり、またすでに13世紀にはイスラム教徒になったといわれる。17世紀にポルトガル人を撃退してから、20世紀初めにオランダに降伏するまでスルタンが支配していた。アチェーは稲作民で、低地ではおもに水田耕作を、内陸ではおもに陸稲を、牛や水牛に犂(すき)を引かせて耕作している。このほかにサトウキビトウモロコシ、タバコ、コショウ、ビンロウジュ、ゴムノキなどをつくっている。彼らは1000年以上にもわたって、マレー地方との間に盛んに交易を行ってきた。アチェーの政治的中心はスマトラ島北端の港コタ・ラジャKota Radjaにあり、ここにスルタンが住んでいた。アチェーの親族関係は父方母方をたどる双系制に基づいているが、結婚後は一般に妻方に居住する習慣である。彼らは熱心なイスラム教徒であるが、多神教的な神秘主義の傾向も広くみられ、悪霊を払う行事や儀礼は現在でも行われている。

[吉田禎吾]


アチェー(インドネシアの地名)
あちぇー
Atjeh
Aceh

インドネシア、スマトラ島北西端を占めるナングロ・アチェー・ダルサラム州の旧称

[編集部]

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