アパッチ族(読み)アパッチぞく(その他表記)Apache

翻訳|Apache

改訂新版 世界大百科事典 「アパッチ族」の意味・わかりやすい解説

アパッチ族 (アパッチぞく)
Apache

北アメリカ南西部や大平原地方西部に居住するインディアン一族。ナ・デネ系(アサパスカン系)の言語を話す。もと北アメリカ北部の針葉樹林地帯に居住していた遊動的な採集狩猟民であったが,白人の北アメリカ進出のころ,大平原地方を経由して,現在の地に南下した。先住民のプエブロ・インディアンやメキシコから北上してきたスペイン人植民者などと接触して農耕牧畜,金属加工技術などをとり入れ,定着するようになった。スペイン人をはじめとする植民者とは土地をめぐって衝突をくりかえした。現在では,合衆国ニューメキシコ州のメスカレロ・アパッチ,ヒカリヤ・アパッチの両保留地,アリゾナ州のサン・カルロス,フォート・アパッチの両保留地などに定着し,連邦政府の援助により農耕,牧畜,林業などに従事している。また,メキシコ北東部にも一部居住している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アパッチ族」の意味・わかりやすい解説

アパッチ族
アパッチぞく
Apache

アメリカ,ニューメキシコ州,アリゾナ州に住むアサバスカン語族に属する言語を話すアメリカインディアンの一民族。人口約1万と推定される。文化的に東部のメスカレーロ,ヒカリラ,チリカワ,リパン,カイオワと,西部のシベクエ,ミンブレーニョ,コヨテロ,北・南部のモゴヨンの各集団に分れる。初期はシカ,ウサギなどを弓矢で捕獲する漂泊狩猟民であったが,後期には簡単な灌漑を施し,トウモロコシ,豆類を栽培するようになった。住居は枝を編んだ小屋で,籠細工が発達している。 1700年頃からウマを取入れ交易,戦争に使い,長く白人に抵抗した。社会組織は母系的なバンドが単位で,いくつかのバンドを統合する首長が存在した。宗教的には太陽,月,植物,光,風などを尊崇し,それらにヘビ踊りを捧げるのが特徴である。

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世界大百科事典(旧版)内のアパッチ族の言及

【アメリカ・インディアン】より

…とくにヒラ川とソルト川の合流点付近には,数十の大集落が存在し,確認されているだけでも350kmを超す灌漑水路の跡がある。 ナ・デネ系のナバホ族アパッチ族は,スペイン人の進出のころに北方から南下し,この地域に定着した。先住民のプエブロ族やスペイン人の植民者から農耕,牧畜,金属加工などの諸技術をとりいれ,定着生活を送っている。…

※「アパッチ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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