家庭医学館 「アミロイド肝」の解説
あみろいどかん【アミロイド肝 Amyloid Liver】
アミロイドと呼ばれる線維(せんい)たんぱくが過剰に体内でつくられ、肝臓(かんぞう)に沈着する病気です。アミロイドは心臓、腎臓(じんぞう)、肝臓、脳、消化管のどこかに限局して(限局性)沈着するほか、全身に沈着して臓器障害をおこすことがあります(全身性アミロイドーシス)。肝臓はとくにアミロイドが沈着しやすい部位で、沈着した肝臓をアミロイド肝といいます。
[症状]
肝腫大(かんしゅだい)(肝臓の腫(は)れ)がもっとも多い症状ですが、肝障害は軽度です。
全身性アミロイドーシスでは倦怠感(けんたいかん)、浮腫(ふしゅ)(むくみ)、たんぱく尿、貧血(ひんけつ)、低(てい)たんぱく血症(けっしょう)、巨舌(きょぜつ)がみられます。腎不全(じんふぜん)、心不全(しんふぜん)または感染症を併発すると死に至ることがあります。
[原因]
遺伝性のもの、原因不明のもの、多発性骨髄腫(こつずいしゅ)・膠原病(こうげんびょう)・がんに合併するもの、腎不全による長期透析中におこるものがありますが、アミロイド沈着のしくみは不明です。
[検査と診断]
直腸生検(ちょくちょうせいけん)か肝生検(かんせいけん)によって、直腸や肝臓の組織にアミロイド沈着が証明されれば診断がつきます。アミロイド線維は肝細胞の外側に沈着するので、肝細胞自体は良好に保たれ、肝機能は正常か、軽い異常がみられる程度です。
[治療]
対症療法が主体です。原因となる病気がある場合は、その治療を行ないます。