アリ・ババと40人の盗賊(読み)アリ・ババとよんじゅうにんのとうぞく(英語表記)`Alī Bābā wa'l-luṣūṣu al-`arba`īna

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アラビア語の説話。 18世紀初め,フランスの東洋学者 A.ガランが『千一夜物語』のなかで初めて広く世界に紹介した。しかし知られるかぎりの同物語集のどの原本にもこの物語は見当らなかったので,多年論議の的になっていた。 1908年9月,スコットランド生れで,アメリカに定住した東洋学者 D.B.マクドナルドは,オックスフォード大学のボドリー図書館のアラビア語写本目録を検討中,この物語のアラビア語原典があることに気づき,イギリスの王立アジア協会雑誌でこれを公表 (1910) した。イランの東部ホラーサーンのある町に住む貧しいアリ・ババは,盗賊団が山中の洞窟に隠した莫大な財宝の所在を知り,「開け,胡麻 (ごま) 」という呪文の力でその洞窟に入り込み,やがて富裕の身となる。アリ・ババの兄カーシムもこの洞窟に入るが,これは盗賊たちのため殺されてしまう。盗賊たちはアリ・ババにも復讐をしようとするが,賢い女奴隷マルジャーナ (珊瑚) の勇気と機転により,盗賊を退治し,アリ・ババ一家は幸福に暮すという筋。話の構成はきわめて巧妙であるが,元来はシリアでできた物語ではないかという説や,トルコ族の説話の要素があるとするものもあり,その起源などは明らかでない。またマクドナルドが発見した原典は 1860年にパリの某書店から買入れたものであるが,ガランが拠った原典とどのような関係にあるのか,その点も今もって謎に包まれている。

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