千一夜物語(読み)センイチヤモノガタリ(その他表記)Alf Laylah wa Laylah

デジタル大辞泉 「千一夜物語」の意味・読み・例文・類語

せんいちやものがたり【千一夜物語】

《原題、〈アラビアAlf laila wa laila》「アラビアンナイト」の原題の日本語訳。千夜一夜物語

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精選版 日本国語大辞典 「千一夜物語」の意味・読み・例文・類語

せんいちやものがたり【千一夜物語】

  1. ( 原題[アラビア語] Alf laila wa laila ) =アラビアンナイト

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「千一夜物語」の意味・わかりやすい解説

千一夜物語
せんいちやものがたり
Alf Laylah wa Laylah

アラビア語で書かれた説話集。一般には『アラビアン・ナイト』の名で親しまれている。成立年代,作者は不詳。収録されている『アラディンと魔法のランプ』『アリ・ババと 40人の盗賊』などは特に有名で,『コーラン』に次ぐ世界的なアラビア語の文学作品である。
中世ヨーロッパ文学の多くと同様に,おとぎ話ロマンス,伝説,寓話,たとえ話,逸話,冒険物語などに分類される数多くの説話が,一つの枠物語に収められている。枠物語は,中央アジアあるいは「インドと中国の島々」を治めるシャハリヤール王が,自分が不在の間に妻がいつも不貞を働いていたことを知り,妻と不貞の共謀者を殺してしまう。以来,すべての女性を忌み嫌うようになった王は,毎日結婚しては次々と殺害し,ついに相手がいなくなってしまったが,大臣の娘シャハラザードが父に懇願して王の妻になり,毎夜物語を語っては途中でやめ,結末翌晩にと約束する。物語の興味につられ,王が結末を知りたいと強く望んだため,シャハラザードの処刑は1日延ばしとなり,ついに王は残虐な計画を放棄して,この賢い妃と幸福に暮すというもので,インド起源の物語と考えられる。説話の多様性と,インド,イランイラクエジプトトルコ,おそらくギリシアにまで及ぶ出典の地理範囲を考えると,1人の作者が書いたとは考えにくい。この見解は,大部分が平易な文体で書かれ,アラビア語に精通した作家が決して犯さないような文法の誤りがみられることからも裏づけられる。
『千一夜物語』に関する現存する最古写本断片は9世紀にさかのぼる。 947年にはマスウーディーがイラン,インド,ギリシアの伝説物語の研究のなかで,ペルシアの『ハザール・アフサーナ (千物語) 』について「世間では『千夜物語』と呼ばれている」と記述している。さらに 987年には,ジャフシヤーリーがアラビア,イラン,ギリシアなどで人気のある 1000の説話の収集を始めたが,942年に死亡してしまい,480編しか書きとめられなかった,と記された。『千物語』あるいは『千一物語』という表現が,単に数の多さを示すだけのことであったのは明らかで,文字どおりに解釈されるようになったのは,のちに数に合せて説話が加えられてからのことである。 20世紀には,『千一夜物語』はもともと口承で伝えられていた人気説話をまとめたもので,時代も場所もさまざまなものを無計画に加えながら数世紀をかけて発展したものであるという点で,西洋の学者の意見は一致した。この説話集にはいくつかの時代層があり,20世紀中頃までに,連続した時代の6つの形式が識別された。それによると,第1は8世紀にペルシアの『ハザール・アフサーナ』からアラビア語に翻訳された『アルフ・フラーファ (千物語) 』。第2はそれをさらにイスラム思想化した改訳本の『アルフ・ライラ (千夜物語) 』。第3は9世紀に『アルフ・ライラ』に基づいて他の当時の物語を加えたもの。第4は 10世紀にジャフシヤーリーが書いたもの。第5はエジプトの諸説話が加えられた 12世紀の物語集。第6の最終版は 16世紀のもので,イスラムの対十字軍の物語とモンゴル人が中東に伝えた東洋の説話を加えたものである。
ヨーロッパにおける最初の翻訳は,A.ガランによる『千一夜-フランス語に訳されたアラビア語の物語集』 (12巻,1704~17) である。ガランが原典として用いたのは4巻から成るシリアの写本であるが,後半の巻には口承のものや他の出典からの物語を多く収録している。 19世紀なかばまでこの翻訳が標準とされ,一部はアラビア語に訳し戻された。 1839~42年にカルカッタで4巻から成るアラビア語版が初めて完全な形で出版されたが,のちの翻訳のほとんどの原典となったのは,1835年にカイロのブーラーク国立印刷局から刊行された,いわゆる「ブーラーク版」である。一方,フランスとイギリスでは,ガランの翻訳を補足,脚色,編集して,口承,写本からの物語を加えたものが,M.ハビヒトによって「ブレスラウ版」 (5巻,1825~43) として出版された。あまり知られていない J.ペインによる英語の完訳本 (13巻,82~89) を基に,R.バートンが著わした『千夜一夜物語』 (16巻,85~88) は,東洋での経験に基づいた注釈がつけられており,英語版としては最も普及している。

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旺文社世界史事典 三訂版 「千一夜物語」の解説

千一夜物語
せんいちやものがたり

アラビアン−ナイト

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