イタロズベーボ(読み)いたろずべーぼ

20世紀西洋人名事典 「イタロズベーボ」の解説

イタロ ズベーボ
Italo Svevo


1861.9.16 - 1928.9.13
イタリアの作家。
トリエステ生まれ。
本名Ettore〉 エットレ〈Schmitz シュミッツ。
少年時代をドイツで過ごし哲学文学愛好、生地に戻り商業高等学校中退後銀行に就職、20年間勤める。傍ら「ある人生」(1892年)、「老年」(1898年)を自費出版するが注目されず、また実業家としての俗世の生活の為に創作活動を中断。しかしJ.ジョイス親交を持ち、商用で各地を巡りフロイトの心理学、新しい思潮に接したことで1923年再び「ゼーノの意識」を自費出版、フランス文学界から高い評価を受け彼の名は一挙にヨーロッパに広まる。

出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のイタロズベーボの言及

【ゼーノの意識】より

…イタリアの作家イータロ・ズベーボの小説。1923年刊。3年の歳月を費やして62歳のときに発表された。無為に陥ったブルジョアジーの主人公ゼーノ・コルシーニが,自己回復を求めて,精神医の助言に従い己の一生を綴り,幻滅と撞着と苦悩を分析するという物語で,E.モンターレの炯眼(けいがん)と友人J.ジョイスの尽力によって,孤立したこのトリエステの老作家の名を不動のものにした。手法としては,イロニーと暗喩に満ちた,精神の内奥への分析を駆使して伝統的な構成・文体を壊した点で,主題としては,個人の神経症を扱いながら,両大戦間のヨーロッパという歴史的な危機の時代の病に重ねて現代人の生の不安を先取りした点で,20世紀文学の新たな針路を示した。…

※「イタロズベーボ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android