イラジエーション

精選版 日本国語大辞典 「イラジエーション」の意味・読み・例文・類語

イラジエーション

〘名〙 (irradiation)
① 暗い背景で物を強く照らすと、反射光が光の当たらない部分までにじみ出て、発光体の大きさが実際よりも大きく見える現象
写真で、強い光がフィルムに当たった場合、その光が感光膜内部で散乱し、まわりの部分まで感光させること。その結果は光のにじみとなって現われ、映像が不鮮明になる。露出オーバーのときに起こりやすい。
物理化学生物学医学などで、光や放射線中性子線などによって、物質を照射すること。

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デジタル大辞泉 「イラジエーション」の意味・読み・例文・類語

イラジエーション(irradiation)

写真で、強い光がフィルムに当たると画像周囲が黒くなり、不鮮明になる現象。感光膜中の銀粒子の結晶表面での光の乱反射による。光滲こうしん。→ハレーション1
物理学・医学などで、放射線を照射すること。

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世界大百科事典(旧版)内のイラジエーションの言及

【写真】より


[鮮鋭度]
 写真像の鮮鋭度は,撮影に用いるカメラのレンズの性能とフィルムの性能のほか,フィルムの現像条件とネガからポジを作る際の焼付け条件などによって異なり,最終的に得られる写真像の鮮鋭度を良くするには撮影から仕上りまでの全体のシステムについて吟味する必要がある。感光材料の品種については一般に低感度の微粒子乳剤を使ったフィルムは高鮮鋭度の画像を与え,また同一乳剤でも乳剤塗布層を薄くし,ハレーションやイラジエーションirradiation(感光層に入射した光の乳剤内部での反射・散乱によって,正規の像の周辺まで感光すること)を防ぐ対策を採れば画像の鮮鋭度が増す。写真の画像が高鮮鋭度を持つ,すなわちシャープな印象を与えるということは,画像の濃淡の境界が明確な状態であり,フィルムの現像の場合にエッジ効果(乳剤膜の高露光域と低露光域との境界で,濃度が,高露光域では一段と高く,逆に低露光域では低くなる現象)を起こすような方法を使うと,画像の輪郭が明瞭になって画像の鮮鋭度が増す。…

【ハレーション】より

…ハレーション防止層中の染料は現像処理後には脱色されるよう考慮されている。また,フィルムに入射した光が感光層中のハロゲン化銀結晶によって散乱されることがあり,この現象をイラジエーションirradiationという。【友田 冝忠】。…

※「イラジエーション」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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