改訂新版 世界大百科事典 「エチニル化」の意味・わかりやすい解説
エチニル化 (エチニルか)
ethynylation
エチニル基CH≡C-(アセチレンから誘導される不飽和の置換基)を導入する有機反応。代表的な例として,1937年W.J.レッペによって発見された反応があり,これはレッペ反応の一つである。すなわち,メチン水素をもつアセチレンまたはその誘導体がカルボニル化合物などに付加する反応をいう(式(1))。この反応は高圧下に銀,水銀,銅またはそのアセチリドを触媒として用いる。たとえば,アセチレンに10気圧,100℃で銅アセチリドを触媒としてホルムアルデヒドを反応させると,好収率で2-ブチン-1,4-ジオールが得られる(式(2))。
HCHO+HC≡CH─→HOCH2C≡CH ……(1)
HOCH2C≡CH+HCHO─→HOCH2C≡CCH2OH …(2)
高級アルデヒドやケトンでは反応性が低下するためにジオールの収率が下がるが,水酸化物イオンを共存させると良好な収率を保つことができる。エチニル化生成物は水銀などの触媒存在下に水を付加させてアルデヒドなどに変換され,用途は工業的にも多岐にわたる。
執筆者:友田 修司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報