エピタデウス(その他表記)Epitadeus

改訂新版 世界大百科事典 「エピタデウス」の意味・わかりやすい解説

エピタデウス
Epitadeus

前4世紀初めのスパルタエフォロス監督官)。生没年不詳。エフォロス在任中に息子相続から排除する目的で,家産と世襲地を自由に贈与あるいは遺贈することを許す法を制定したという。この伝承信憑性を疑うむきもあるが,動機はともかく法制定は前4世紀初めの歴史的事実とされる。スパルタは平等者の共同体を維持するために鎖国体制をしいていたが,ペロポネソス戦争を機にこれが崩れ,富が流入すると貧富の差が急激に拡大し,土地を失うものも現れた。エピタデウスの法はこの状態を追認し事態をいっそう悪化させた。このためレウクトラの戦の前夜,完全市民数は1000にも満たず,土地の2/5は女性の手にあったという。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エピタデウス」の意味・わかりやすい解説

エピタデウス
えぴたでうす
Epitadeus

生没年不詳。古代ギリシア、スパルタのエフォロイ(監督官)。紀元前4世紀初めエフォロイ在任中にスパルタの相続法を変更し、家産と世襲地の自由な贈与と遺贈を認めた。それは、不仲な息子を相続から除こうとしたのだと伝えられる。スパルタは、ペロポネソス戦争(前431~前404)を機に貨幣経済に巻き込まれ、著しい貧富の差が生じて、世襲地も譲渡されるようになったが、エピタデウスの制定した法は、この状態を追認しいっそう悪化させ、スパルタ共同体が崩壊する一因となった。

[古山正人

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エピタデウス」の意味・わかりやすい解説

エピタデウス
Epitadeus

前5世紀頃の古代ギリシア,スパルタエフォロス (監督官) 。おそらくそれまで内密の慣行であった土地の贈与や遺贈を認める法を提案し,ペロポネソス戦争後のスパルタで,ラコニアメッセニアにおいて少数者への土地の集中を促した。

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世界大百科事典(旧版)内のエピタデウスの言及

【スパルタ】より

…前398年のキナドンの陰謀はこの結果である。平等者の経済的基礎として,移動を厳しく制限されていた土地も売買の対象となり,エピタデウスはこれを追認する法を制定した。対外的にもスパルタの覇権は脅かされた。…

※「エピタデウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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