改訂新版 世界大百科事典 「オートエロティズム」の意味・わかりやすい解説
オートエロティズム
autoerotism
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
翻訳|autoerotism
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…対象の種類により,隣人愛,友愛,人類愛,祖国愛,真理への愛,神への愛など,さまざまの愛がなりたちうるが,その基本は異性間の愛情にあると思われる。ただし,S.フロイトによると,この〈異性愛〉もはじめからそういうものとして成立するのではなく,幼児が自分の指を吸う行為などにみられるように,まず自分自身の身体を対象とする〈自体愛(オートエロティズム)〉として芽生えたのち,自己という存在全体にむけられて〈自己愛〉へとすすむ。水面に映った自分の姿にあこがれ,水に落ちておぼれ死ぬギリシア神話の美少年ナルキッソスの場合がこれで,その名にちなみ,〈ナルシシズム〉とも呼ばれるが,成長後も,ある種の神経症や精神病では,退行してこの状態を再現することがある。…
…歴史的に性対象の異常とされてきたものには,以下の行為がある。自分自身の肉体を性対象とするオートエロティズム(ナルシシズム),自分と同性を対象とする同性愛,性的に未熟な幼児を対象とする幼児性愛(ペドフィリアpedophilia),老人を対象とする老人性愛(ジェロントフィリアgerontophilia),死体を対象とする屍体性愛(ネクロフィリアnecrophilia),動物(獣,鳥など)を対象とする動物性愛(ゾーフィリアzoophilia,これにもとづく行為が獣姦=ソドミーsodomy),フェティッシュと呼ばれる物品や肉体の一部を性愛の対象とするフェティシズム,親子・同胞と交わる近親相姦など。一方,性目標の異常としては,露出症,窃視症(voyeurism,いわゆる〈のぞき〉),サディズム,マゾヒズム,異性装症ないし服装倒錯(トランスベスティズムtransvestism)などがあげられてきた。…
…〈性器的〉と〈性的〉とは明確に区別されるべきものであり,幼児性欲は〈性的〉ではあっても〈性器的〉ではない。また快感獲得の対象が主として自己自身の身体部分であるという意味で〈自体愛的〉(オートエロティズム)である。また,性器以外の身体部位がエロティックな満足をもたらすのだから〈多形倒錯的〉でもある。…
※「オートエロティズム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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