自他(読み)ジタ

デジタル大辞泉 「自他」の意味・読み・例文・類語

じ‐た【自他】

自分他人。自分と自分以外の者。「自他ともに認めるところだ」
仏語自力他力
自動詞他動詞
これとあれ。
和漢礼義をととのへて―の記録くらからず」〈保元・上〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「自他」の意味・読み・例文・類語

じ‐た【自他】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 自分と他人。我と人。彼我(ひが)
    1. [初出の実例]「混物我之多一レ諍、証自他之不二」(出典:性霊集‐七(835頃)僧寿勢入先師忌日料物願文)
    2. 「ただひたすら自他を圧服する力のみを」(出典:死霊‐三章(1946‐48)〈埴谷雄高〉)
  3. 対立、対応している両者。双方。彼我。
    1. [初出の実例]「我等が頸を御引出物に進するか、御頸どもを餞に給るか、其二の間に自他の運否を定め候ばや」(出典:太平記(14C後)三九)
  4. あれとこれ。あれこれ。
    1. [初出の実例]「和漢ともに人にすぐれ、礼義を調へ、自他の記録にくらからず。文才世にしられ、諸道に浅深をさぐる」(出典:保元物語(1220頃か)上)
  5. 仏語。自力と他力。
    1. [初出の実例]「かれは自力也。これは他力なり。自他(ジタ)のかわりこそ候へども、因位のくらゐはひとしといふなり」(出典:親鸞聖人消息(13C中)善性本・五)
  6. 連歌俳諧で、自己の感想、動作、生活などについての表現をいう自と、他人のそれをいう他。この句を適切に連接配置するのが付合の上で重要視された。
    1. [初出の実例]「中の句人情なき時は、自他をふりわけて句作すべし。いか様に転じても中の句を両方にてみるなり」(出典:俳諧・山中問答(1689)附録北枝叟考)
  7. 文法で、自動詞と他動詞。また、自称と他称。
    1. [初出の実例]「『詞の通路』が動詞に自他の別あることを指摘してより以来」(出典:国語のため(1895)〈上田万年〉本居春庭伝)

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