化学辞典 第2版 「カソード防食」の解説
カソード防食
カソードボウショク
cathodic protection
陰極防食ともいい,金属材料を自然電位より低電位側に分極することにより防食する方法.金属(M)が金属イオン(Mn+)になるアノード溶解反応
M → Mn+ + ne-
の速度,すなわち腐食速度は電位が低くなるほど小さくなる.低電位に分極する方法としては,外部電源法と犠牲陽極法とがある.前者は,被防食体を陰極,炭素棒のような不溶性の電極を陽極として,外部電源を使って被防食体の電位を低電位側に分極する方法である.一方,後者は,被防食体よりイオン化傾向の大きい金属を犠牲陽極として被防食体に電気的に接続することにより低電位側に分極する方法である.カソード防食の最適電位は,たとえば中性溶液中では自然電位から-0.3 V であると経験的にいわれている.これより低電位側に分極されると,金属の腐食は進行しないが,水の電気分解により水素が発生し,それが金属中に侵入し,水素脆化を引き起こすことがある.このような状態を過防食とよんでいる.[別用語参照]アノード防食
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報