カディーシャ渓谷〈聖なる谷〉と神のスギの森〈ホルシュ-アルツ-エル-ラーブ〉(読み)カディーシャけいこく〈せいなるたに〉とかみのスギのもり〈ホルシュアルツエルラーブ〉

世界遺産詳解 の解説

カディーシャけいこく〈せいなるたに〉とかみのスギのもり〈ホルシュアルツエルラーブ〉【カディーシャ渓谷〈聖なる谷〉と神のスギの森〈ホルシュ-アルツ-エル-ラーブ〉】

1998年に登録された世界遺産(文化遺産)。カディーシャ渓谷レバノンの中央部、レバノン山脈のコルネ・エル・サウダ山(標高3087m)の山域にある。ここには、レバノンの象徴として、国旗にも描かれているレバノンスギが自生している。ここに生えているのは樹齢3000年以上2本、1000年以上10本を含む375本である。現在、レバノン国内には、これを含めて1200本程度のレバノンスギがあるだけだが、かつてはレバノン山脈全体を覆っていた。紀元前にレバノンを拠点としたフェニキア人は、このレバノンスギを切り出してガレー船を建造し、地中海に漕ぎ出した。また、レバノンスギから抽出した樹脂は重要な交易品だった。ヘブライ人の国家を築いたソロモン王はレバノンスギを保護し、神殿宮殿を造る際の建材に用いた。ちなみに、レバノンスギはヒマラヤスギ属に属する樹木であるため「スギ」と訳されているが、日本人にとってはスギというよりはマツに近い樹木である。◇英名はOuadi Qadisha(the Holy Valley)and the Forest of the Cedars of God(Horsh Arz el-Rab)

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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