カロカガティア(英語表記)kalokagathia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カロカガティア
kalokagathia

ギリシア語の,「」 kalosにして,「かつ」 kai,「」 agathosなること。「調和」を重んじたピタゴラス学派において,善と美とは原理的に同一のものの2相ととらえられ,心身の調和的発達による善美の実現こそ,人間完成の理想とするギリシアの教育観へ受継がれた。ソクラテスプラトンにいたって,善と美はともに精神的なものにおいて本来の意義を有するとされ,「善美」は善に美を包含する道徳的完成の意味へと高められた。この思想は,のちのシャフツベリ,シラーらへ受継がれる。

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世界大百科事典 第2版の解説

カロカガティア【kalokagathia】

ギリシア語の二つの形容詞〈カロスkalos(美しい)〉と〈アガトスagathos(善い)〉をつないだ合成語。しいて訳せば〈善美の徳〉であろう。ギリシア人が〈美しく,そして善い人〉と言えば,ほぼ紳士を意味し,普通には富裕な者が紳士と見なされた。だがプラトンはそういう社会的通念を否定し,真の意味での哲学者を〈美しく,そして善い人〉とした。【斎藤 忍随】

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世界大百科事典内のカロカガティアの言及

【芸術教育】より

…この遊びや労働と結びついたインフォーマルな芸術教育では,技術の修練と美意識の発達が不可分のものとして獲得されていった。古代ギリシア人にとって善と美とは原理的に同一のものと考えられ,それによって心身の調和のとれた理想的人間の形成をめざすカロカガティアkalokagathiaの思想による美的教育の考えがながくヨーロッパの精神形成史の底流をなしてきた。知育,徳育,体育とならんで美育という人間形成のしかたが昔から存在したように,教育課程全体を貫く編成原理として芸術が教育の基礎にならなければならないとする〈芸術による教育〉の思想などはこれであり,イギリスのH.リードらに代表される。…

【哲学】より

…それは今日の言葉でいえば,個人や国家共同体の,精神的主体性の〈よさ〉が求められたということである。〈よさ〉とは,あるべき姿,すなわち善美であること(カロカガティア)であるが,プラトンにおいて,善や美は,〈イデアidea〉あるいは〈エイドスeidos〉とせられた。イデアあるいはエイドスとは,ともに〈見るidein〉という動詞に由来し,〈見られたもの〉を,したがって見られたものの〈かたち(形)〉,あるいは〈すがた(相)〉を意味する。…

※「カロカガティア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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