ガウス鎖(英語表記)Gaussian chain

  • ガウスサ

法則の辞典の解説

1本の高分子の鎖のコンフォメーションを考えるとき,i 番目の主鎖結合をベクトル xi で表し,各主鎖結合のとる方向が互いに独立であるとすれば,分子の両極端のベクトルの分布 WR)は,通常の確率密度の式を三次元に拡張して表すことができる.すなわち

である.これは高分子鎖に短距離相互作を入れたモデルで,いわば理想気体に対応する理想状態を表したものといえる.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

化学辞典 第2版の解説

高分子鎖の両末端間距離の確率分布がガウス分布(正規分布)に従う分子鎖をいう.この両末端間の確率分布は,確率変数 xi の多数個の和

xxi
xi が互いに独立で,Nが十分大きいときには,中心極限定理に従って,

なる確率密度をもつ.ただし,〈 〉は平均値を示す.これをガウス分布という.1本の高分子鎖のコンホメーション(立体配座)を考えるとき,i番目の主鎖結合をベクトル xi で表し,各主鎖結合のとる方向が互いに独立とすれば,分子の両端間ベクトルの分布は,上の確率密度を三次元的に拡張した,

で与えられる.ただし,〈R〉 = 0とした.iの値がそれほど異ならない確率変数の間に相関があっても,すなわち多重マルコフ鎖であってもやはりガウス分布に従う.したがって,ガウス鎖は高分子鎖に短距離相互作用を考慮に入れたモデルで,理想気体に対応する理想状態を表している.ゴム状物質のエントロピー弾性は,変形に伴うガウス分布からずれた状態がガウス分布に戻ろうとする回復力である.一方,高分子希薄溶液中でのコンホメーションは,経路長(contour length)が大きくても空間的に近い結合(確率変数)間の相互作用が無視できない.これを排除体積効果といい,この効果を考慮に入れると,非ガウス性の鎖になる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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