ガンマナイフ

百科事典マイペディア 「ガンマナイフ」の意味・わかりやすい解説

ガンマナイフ

脳内にある病変(病気や外傷によって変化した組織や体液の部位)に,放射線の一種である放射性同位元素のコバルト60線を当てて焼き切る装置のこと。一般的な放射線治療と違って,多方向から一点に放射線を集中させる技術を使って,脳の奥にある病変でも,確実に線を当てることができる。このため,正常な脳の組織には,ほとんど影響がない。 対象となる病気は,動静脈奇形(脳の動脈と静脈が,毛細血管を通さずにつながってからまり,塊となる先天異常),聴神経腫瘍脳腫瘍など。直径3cm以内の腫瘍であれば,約80%の治療効果がある。 治療方法は,まず局所麻酔をして金属製の枠を頭部に固定し,CTスキャンMRIで放射する位置を計算して,放射線を当てる。治療時間は20分〜1時間ほどで,痛みはなく,翌日には退院できる。ふつうの放射線治療で起こりがちな倦怠(けんたい),食欲不振,むかつき,嘔吐(おうと)などの副作用は少ない。 ガンマナイフは,1990年代になって米国で急速に普及した。日本では1996年に健康保険が適用になり,国立がんセンターなど全国14の施設で稼動している。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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