コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

聴神経腫瘍 ちょうしんけいしゅようacoustic tumor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

聴神経腫瘍
ちょうしんけいしゅよう
acoustic tumor

内耳道内の第8脳神経から発生する腫瘍で,組織学的には神経鞘腫が多く,ときに神経線維腫もある。成人の脳腫瘍全体の7~8%を占める。多くは難聴耳鳴めまいが初発症状で,次いで三叉神経症状 (角膜反射消失,顔面知覚異常) ,顔面神経麻痺平衡障害などを伴うようになる。脳圧亢進脳幹・小脳圧迫が起ると頭痛,嘔吐,平衡失調,小脳失調症状が加わり,昏睡に陥って脳幹障害,延髄麻痺などで死亡する。早期に診断し,外科的に腫瘍を摘出する必要がある。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

家庭医学館の解説

ちょうしんけいしゅよう【聴神経腫瘍】

[どんな病気か]
 内耳道(ないじどう)や小脳(しょうのう)の橋角部(きょうかくぶ)という部位に生じる良性腫瘍(りょうせいしゅよう)(神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)、神経線維腫(しんけいせんいしゅ))で、難聴(なんちょう)になります。
 発症は、50歳代が中心です。
 症状は、片側におこる難聴や耳鳴(みみな)りが徐々に進行し、めまいをともなうことも多くあります。
 腫瘍が大きくなると、顔面神経まひ、三叉神経(さんさしんけい)のまひや痛みが現われ、さらに脳圧亢進(のうあつこうしん)(「脳良性腫瘍とは」)がおこりますが、画像診断の発達によって、早期に発見されるケースが多くなっています。
[原因]
 原因は不明ですが、まれに両側に腫瘍が発生することがあり、これはニューロファイブロマトーシスⅡといい、遺伝子(いでんし)の異常にともなっておこることがわかってきました。
[検査と診断]
 いろいろな聴力検査(ちょうりょくけんさ)が行なわれ、内耳性(ないじせい)、後迷路性(こうめいろせい)の混合した感音難聴(かんおんなんちょう)(「伝音難聴と感音難聴」)を示し、平衡機能検査でも異常がみられることがあります。X線撮影、CT、MRIなどの画像診断も行なわれ、とくにMRIが早期診断に威力を発揮します。
[治療]
 手術をして、腫瘍を摘出(てきしゅつ)するのが原則ですが、腫瘍の大きさ、症状によっては特殊な放射線療法が選択されることもあります。
 症状が軽い場合は、年齢なども考慮して、経過を観察することもあります。

出典|小学館家庭医学館について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

聴神経腫瘍
ちょうしんけいしゅよう

内耳神経(聴神経と前庭神経とからなる)に生じる神経鞘(しょう)腫で、内耳神経の前庭神経から発生することが多い。広義には脳の小脳橋角部の腫瘍をも含めて聴神経腫瘍ということがある。この場合は嚢腫(のうしゅ)、髄膜腫なども含む総称であるが、狭義のものと臨床像はほとんど同じである。
 初期の症状は一側性の耳鳴り、難聴で、めまいはあっても、その程度は非常に軽い。これらの症状は徐々に進行するが、その進行は非常に緩慢で、数年に及ぶことも珍しいことではない。難聴は感音難聴で、しだいに進行してまったく聞こえなくなる。めまいは最初は身体がふらつくような感じで始まり、回転性のめまいとなり、しだいに身体の平衡障害がおこってくる。しかし実際に病院を訪れたときには病側の前庭機能が完全に障害されていることが多い。これは、最初から前庭機能は侵されてくるが、進行が緩慢であるので機能が代償されるため、自覚症状が少ないのが原因と思われる。
 腫瘍が大きくなると、顔面の知覚異常などの三叉(さんさ)神経症状や顔面神経麻痺(まひ)などがおこる。さらに進行すると小脳症状、脳圧亢進(こうしん)症状をおこし、最終的には脳幹障害、呼吸障害をおこして死亡するまでになる。治療は脳外科的に腫瘍の摘出手術を必要とすることが多いが、初期に発見できれば経内耳的に摘出できる。[河村正三]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

聴神経腫瘍の関連キーワード脳、脊髄、神経系の主要な症状定位放射線治療めまい(眩暈)耳鼻咽喉科北川悦吏子耳鳴り

聴神経腫瘍の関連情報